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神の力受けてみよッ!!

走れグンキすまっしゅ☆③【初級者中級者向けCOJ】

路行く人を押しのけ、ねとばし、グンキすまっしゅ☆は黒い風のように走った。

 

野原で酒宴の、その宴席のまっただ中を駈け抜け、酒呑童子たちを仰天させ、ブラッドハウンドをとばし、小川を飛び越え、少しずつ沈んでゆく太陽の、十倍も早く走った。

 

一団の旅人とっとすれちがった瞬間、不吉な会話を小耳にはさんだ。

 

「いまごろは、あの男も、エラッタ対象として発表されているよ。」

 

ああ、その男、その男のために私は、いまこんなに走っているのだ。

その男を下方エラッタさせてはならない。

 

急げ、グンキすまっしゅ☆。

おくれてはならぬ。

愛と誠の力を、いまこそ知らせてやるがよい。

風態なんかは、どうでもいい。

 

グンキすまっしゅ☆は、いまは、ほとんど全裸体であった。

呼吸も出来ず、二度、三度、口から血が噴き出た。

 

見える。はるか向うに小さく、アルカナの市の塔楼が見える。

塔楼は、夕陽を受けてきらきら光っている。

 

「ああ、グンキすまっしゅ☆様。」

うめくような声が、風と共に聞えた。


「誰だ。」

グンキすまっしゅ☆は走りながら尋ねた。


「獅子王でございます。貴方のお友達スサノオ様の弟子でございます。」

その若い獅子も、メロスの後について走りながら叫んだ。

 

「もう、駄目でございます。むだでございます。走るのは、やめて下さい。もう、あのをお助けになることは出来ません。」

 

「いや、まだ陽は沈まぬ。」


「ちょうど今、あの方がエラッタされるところです。ああ、あなたは遅かった。おうらみ申します。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」


「いや、まだ陽は沈まぬ。」

 

グンキすまっしゅ☆は胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。

走るより他は無い。


「やめて下さい。走るのは、やめて下さい。いまはご自分のお命が大事です。あの方は、あなたを信じて居りました。刑場に引き出されても、平気でいました。むっく様が、さんざんあの方をからかっても、グンキすまっしゅ☆は来ます、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でございました。」


「それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。人の命も問題でないのだ。私は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い! 獅子王。」


「ああ、あなたは気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」


言うにや及ぶ。

まだ陽は沈まぬ。

 

最後の死力を尽して、グンキすまっしゅ☆は走った。

グンキすまっしゅ☆の頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。

ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。

 

陽は、ゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光の騎士も、消えようとした時、グンキすまっしゅ☆は疾風の如くSEGA本社に突入した。

 

間に合った。

 

「待て。その鬼神をエラッタしてはならぬ。グンキすまっしゅ☆が帰って来た。約束のとおり、いま、帰って来た。」

と大声で運営の群衆にむかって叫んだつもりであったが、がつぶれてれた声がかに出たばかり、群衆は、ひとりとして彼の到着に気がつかない。

 

すでにエラッタ告知の表が高々と立てられ、縄を打たれたスサノオは、徐々に釣り上げられてゆく。

グンキすまっしゅ☆はそれを目撃して最後の勇、先刻、濁流を泳いだように群衆を掻きわけ、掻きわけ、

 

「私だ、J子! 垢BANされるのは、私だ。グンキすまっしゅ☆だ。彼を人質にした私は、ここにいる!」

と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついに筐体に昇り、釣り上げられてゆく友の両足に、りついた。

 

群衆は、どよめいた。

あっぱれ。ゆるせ、と口々にわめいた。

スサノオの縄は、ほどかれたのである。

 

スサノオ。」

 

グンキすまっしゅ☆は眼に涙を浮べて言った。

 

「私を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。私は、途中で一度、悪い夢を見た。君がし私を殴ってくれなかったら、私は君と抱擁する資格さえ無いのだ。殴れ。」


スサノオは、すべてを察した様子で首肯き、ためらいがちに軽くグンキすまっしゅ☆の右頬を殴った。

 

殴ってから優しく微笑み、


「グンキすまっしゅ☆、私を殴れ。同じくらい私の頬を殴れ。私はこの三日の間、たった一度だけ、ちらと君を疑った。生れて、はじめて君を疑った。君が私を殴ってくれなければ、私は君と抱擁できない。」


グンキすまっしゅ☆は腕にりをつけてSEGA本社一ぱいに鳴り響くほど音高くスサノオの頬を殴った。


「ありがとう、友よ。」

 

二人同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。


群衆の中からも、歔欷の声が聞えた。

 

暴君むっくは、群衆の背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。


「おまえらの望みはったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしをも仲間に入れてくれまいか。どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの仲間の一人にしてほしい。」

 

どっと群衆の間に、歓声が起った。


「空気読め、むっく空気読め。」


ひとりの少女が、のマントをグンキすまっしゅ☆に捧げた。

グンキすまっしゅ☆は、まごついた。

 

佳き友は、気をきかせて教えてやった。


「グンキすまっしゅ☆、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、グンキすまっしゅ☆の裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」


勇者は、ひどく赤面した。

 

(古伝説と、シルレルの詩から。)


おわり